野田新総理

 野田総理の人事について、小沢系の輿石氏を幹事長に据えた人事は評価できる。組織のトップは、側近に自分の腹心と対立勢力のトップを据えるくらいの器量が必要だと、かねがね思っていた。側近に、自分の腹心ばかりを配置すると、全て自分の思いどおりになるので好ましくない。というのが、私の持論だ。
 菅元総理等は、自分の周りに自分のことを批判する人物を入れずに、批判するような人は排除するような傾向があったようだ。これでは、緊張感が薄れてしまい、なあ〜なあ〜の政治判断を下すことになる。側近に自分と違う考えの人がいると、議論に緊張感がうまれる。自分ひとりの判断が間違っていることもあるかもしれないという謙虚な気持ちでいれば、その分野の専門家の意見にも耳を傾けることができる。
 このような、幅広い人事ができる人は、大きな仕事を成し遂げることができる人だと思う。野田総理は、この人事をみると敵対する人に頭を下げて、話をまとめることができるような気がする。多くの人が集まれば、派閥のようグループができることは自然なことだが、派閥横断で一緒に仕事をする集団でなければならない。
 ヒットラーのような強烈なリーダーが今求められているのかというと、そうではない。調整型の地味なリーダーが気がつけば他の人を引っ張っているという引っ張り方で良いのではないか。これなら、自分でも可能かなと思う。野田総理、頑張って下さい。

デンタルセミナー

 先日、8月21日(日曜日)北九州のリバーウォークでアヴァンティ主催のデンタルセミナーをさせていただきました。内容はインプラントとかみ合わせの話でしたが、大雨にもかかわらず、多数の方にご参加頂きありがとうございました。一般の方向けの講習会ですから、わかりやすい言葉でお話をしたつもりですが、実際の手術のビデオを見て頂きました。抜歯や骨を削る部分も動きがありリアルな映像でしたが、皆さん大変興味深くご覧になっていたようです。
 その内容をかいつまんでご紹介しますと、
1. インプラントをすることで何が変わるのか
2. ブリッジや入れ歯とどこが違うのか
3. 最新のインプラントの治療法
 この三つのことを簡単にご紹介しました。インプラント治療をしたことで、よく噛めるようになることが最も大きなメリットです。噛めることで得られる効果は、消化が良くなり、全身の健康に貢献することがあげられます。さらに、奥歯が欠損することで生じる顎のずれをとり、全身の姿勢を改善することもできるので、肩こりなどの全身症状が改善し、全身の健康レベルが上がることになります。
 入れ歯を使用していた人が、インプラントに切り替えた場合、人前で食事がしやすくなり、友人との旅行も行きやすくなったという感想をもつ人も多くおられます。お口の中が快適になり、話や顔の表情が豊かになったりと、社会生活を積極的に行なえることに貢献もできるようです。さらに、口もとのしわが伸び、顔が若々しくなり、気分的のも快適になります。
 ブリッジとの比較で最も重要なことは、天然歯を削らなくて良いということです。従来のブリッジの場合、欠損した歯の横の歯を削ってブリッジを作成していましたが、インプラントの場合は横の歯を削ることは必要ありません。インプラント単独で噛む力を負担できるからです。特に虫歯ではない健全な歯をブリッジ作成の為に削るという行為は犯罪に近いものがある行為だと思います。
 そして、最新のインプラント治療はCTデータをもとにした、シュミレーション医療だと思います。あらかじめ作成しておいた補綴物を用意しておいて、手術に臨み、手術直後にその補綴物を装着するという治療法が最も理想的な治療法だと思います。ただ、この方法は、いくつかの条件を満たした人でないとできないことが欠点です。その条件というのは、骨が充分存在することと、口が大きく開くことです。この方法が可能になれば、切開、剥離などの処置も最小限ですみますので、患者さんの負担も軽くすみます。
 以上のような内容の話をさせていただきました。インプラントの治療がいいか悪いかという議論はもう終わりました。今は、インプラントをどのように活用するのか、また、インプラントで得られるメリットは何なのかが議論されているのです。一つの理想は、元々あるべき歯茎と歯を再現することです。これにつきます。そして、手術の方法もダメージの少ない方法が研究されています。次から次に研究開発のテーマが広がっていくのが世のつねです。
 

今日のオペ(静脈内鎮静法)

 今日のオペをさせて頂いた方は、こわがりさんでした。普通、恐がりの方はインプラントの手術などとてもできません。ところが、全身管理のもとで歯科麻酔の専門医による、静脈内鎮静法を応用すれば、眠った状態で手術ができます。専用の器具も必要ですが、この方法を使うと恐がりの方でも、安心して治療が受けられます。
 静脈路を確保することで、抗生物質や止血剤、さらに鎮痛剤も投与できますので、色々な面で有効です。以前の麻酔薬や効きすぎて、さめるのが遅かったのですが、最近の薬は注入しているときだけしか効かないので、さめるのも早いのが特徴です。でも、念のために、その日は車の運転はしない方が良いと思います。
 今日のオペは、歯科麻酔の指導医のN先生(九州歯科大学元教授)と歯科麻酔専門医のA先生にお願いしました。実は、N先生は九州歯科大学退官後、この静脈内鎮静法で歯科医院をサポートするグループを作り、インプラントの手術などの際に出張で、麻酔をかけて頂けるのです。
 オペの内容は、約1年前に埋入したインプラントの二次オペと、新たに1本のインプラントを埋入する手術でした。二つの手術を同時に行なった訳です。細かいことを言うと、歯肉の剥離の方法の異なるので、複雑な手術になりましたが、予定どおり上手くいきました。アシスタントとの連携を手際が良いとN元教授にお褒めの言葉をいただきました。日頃、何気なく当たり前のように手術をしていますが、新ためて考えてみると、長年一緒にオペをしてきたアシスタントの歯科衛生士がいてくれてありがたいものです。自分をサポートしてくれるスタッフや歯科麻酔の先生方に感謝します。

今日のオペ(サイナスリフトの難症例)

 本日、以前当院でインプラントの治療をさせて頂いた方が来られ、前歯が割れていました。その歯は抜歯しなければならないとうい状況でした。たまたま、その日、インプラントの手術の準備をしていましたので、直ちにオペ室にて抜歯とインプラント埋入を同時におこないました。つまり、抜歯するかわりに新しい歯を入れた感じです。
 この方は、インプラントを以前当院で経験されたいましたので、話がスムーズに行きましたが、通常は改めてオペの日程を決めます。この事例でわかることは、インプラントに治療は症例によっては比較的簡単に治療ができるのです。
 その一方、難しいオペもあります。本日行なったオペがまさに難しい症例でした。下顎に2本のインプラントを埋入しまして、その後、上顎の臼歯部に骨を移植しました。上顎の骨が少ないので移植したのですが、上顎洞の中に膿がたまっていました。通常はこのような場合には骨移植はできないのですが、当院では、上顎洞内にたまった不良な膿を抜き取ってから、粘膜を押しあげて骨移植を行ないます。今日もそのような手術を実施しました。言ってみれば、耳鼻科の手術も同時に行なったようなものです。
 手術の際、削った骨の中から出血が多くありました。骨の中に大きめの血管があったようです。止血処置が上手くいって完全に止血できましたが、20分くらい余分に時間がかかりました。細かいことを言えば、上顎洞の骨の形が複雑で粘膜を破りそうになりましたが、小さめの器具で丁寧に剥離することができましたので、粘膜を破らずにすみました。前回の手術で思いついた器具の修正をしていたのが功をそうしました。予定どおり、上手く手術ができたことに感謝します。慌てずに適切なアシスタントをしてくれた歯科衛生士に感謝。

小松左京の死を悼み

 小松左京が7月26日になくなりました。SF作家として、彼の存在は非常に大きなものでした。SFというのは、未来を予測して異次元の世界で物語を作るという小説です。かれは星新一筒井康隆などと一緒に日本のSF小説の第一人者でありましたが、彼の作品は単なる文学ではなく、近未来の人類への警鐘を科学的にときあかすものでした。日本沈没などはあまりにも有名ですが、今回の東北の大震災をもある意味予測していたと言えます。SF作家が過去において表現した小説での近未来が、次々と現実のものになっていくことが多くあります。
 彼の作品の中で、人間の複製であるアンドロイドが人格を持つ内容の小説があったことを思い出します。科学の進歩は人間の行動を大きく変化させます。今日のようなインターネットの社会が広まることで、政府の中枢機関がサイバー攻撃を受けるなどといったことは、SF作家たちが随分昔に小説にしていたのではないでしょうか。彼の短編を集めた本を時々読み返し、その中で彼が予測した社会が現実になっていることに驚かされていました。
 今後、世の中が変化し、思いもしてなかったことが現実となった時、人類は本来の力を発揮し、原点に戻って立ち直っていくのでしょう。今日のような混沌とした現実社会を本来の姿に戻すには、新しいルール作りが必要だと思います。小松左京氏は、ずっと以前から、世界が一つの連邦国家になることを予測していました。地域紛争をしている場合ではなく、世界は一つの連邦として話し合い、地球の限られた資源を上手に分配して、無駄をなくすべきだと思います。日本の人たちは日本の利益ばかり考えていると世界から見限られます。原子力発電所の事故は世界の空気中に放射能をばらまくという事実をもっと認識しなければなりません。経済的な国境はもうなくして、世界平和を語ることのできるような人材を日本の国家元首に担ぎたいものです。

今日のオペ(Teeth in hour)

 昨日、Teeth in hourを実施しました。上顎に4本のインプラントを埋入し、その直後にあらかじめ作っておいた最終補綴物を装着しました。それぞれしっかりネジがしまり、固定できました。この方法ですと、時間も短時間ですみ、外科的ダメージも少ないので、手術後の痛みもほとんどなく患者さんも非常に楽です。手術の方法は、極めて厳格で誤差を少なくすることに神経を使いますが、上手くいったときの喜びは格別で、感動に値します。
 ただ、準備に時間がかかります。今回は1ヶ月と5日かかりました。がしかし、オペの日に最終補綴物が入り、その後型取りも必要ないので、トータルした手間は非常に少ないといえます。急いで作成してくれた技工士諸君、オペの準備を手際よくしてくれた歯科衛生士諸君、全身管理をしてくれた歯科麻酔の専門医であるN先生、全ての力が結集してこのオペが成功したのだと思う.