歯の話

 学生時代、歯の解剖学的形態について詳しく勉強した。当たり前のことである。ただ、学生時代はその時の課題をクリアーするための勉強だったと思う。
ところが、実際、歯科医師としての仕事をしてみると、そのことの重要性がわかってくる。学生時代に、進級することだけを目標にして、本来知るべき歯の形態の勉強をおろそかにしてきた歯科医師は、実際の臨床で苦労することになる。
 私の場合、一般的な医学の勉強は苦手だったが、歯の形態の関する勉強には興味があった。その頃から少し変わった人間だったので、他の同級生が普通の教科書でその勉強をしているとき、自分は図書館へ通いより精密な教科書を借りて人知れず勉強していた。そのお蔭で、学生時代の芋掘り(歯型彫刻)の試験は全て1回で合格した。これは結構自慢できることなのです。その当時、歯科医師国家試験で実習試験があったので、技術的な部分での学習に重点をおいていたようだ。
 その頃の勉強が今になって役に立っていることは言うまでもない。そこで、その当時私がしていた勉強を卒業直後の先生方にもしてもらった方が良いのではなかろうかと、今思っているのです。何事も基本が大事ですね。