ミス・ポター

Inoue_Hideto2011-07-28

 ミス・ポターとはピーターラビットの作者で、1900年代にイギリスで活躍した女性作家である。彼女はピーターラビットの印税を自然保護の為にイギリスの山間の農地を買い占め、最終的に4000エイカーの土地を所有し、そのすべてを自然保護団体に寄付したのである。彼女は100年以上前に、まだ自然が多く残っていた時代に早くも開発による自然破壊に警鐘を鳴らし、自らの私財を投じてその精神を後世に残そうとしたのである。
 この、ビアトリクス・ポター氏の生誕140年にあたる、2006年に彼女を主人公とした映画が公開された。そのタイトルが<ミス・ポター>である。この映画、イギリスの大自然雄大さを画面に映し出し、ウサギなどの動物をこよなく愛したアーティストを生み出した状況をその時代の歴史小説のように描いている。
 この映画のテーマはもう一つあり、それは結婚である。その時代、結婚は家柄が重んじられ、女性が社会で自立してなかったこともあり、女性はつりあいのとれた家と結婚し、子供を産んで家庭を守るというのが一般的であった。ビアトリクス・ポター氏も出版者の男性と恋に陥るが親に反対されるのである。その親の提案で、夏の間3ヶ月間二人を引き裂いて、それでも別れなければ結婚に賛成しよう、ということになる。
 その後のストーリーは映画を観てのお楽しみにしていただきたいが、不幸な結末になるのである。これがまた、神様のいたずらで、その不幸を乗り越えることで、後世に名を残す作家であり自然保護の先駆者を生み出すのである。先ほどの4000エイカーというのがどのくらいの広さかというと、北九州市戸畑区とほぼ同じ広さでした。

ミス・ポター [DVD]

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