■

　今日は抜歯と同時にインプラントを埋入する手術を行ないました。虫歯や歯周病がひどくなり、保存不能になった歯は現在では早めに抜歯することをおすすめしています。その理由は、抜歯の時期が遅くなればなるほど、歯の周囲の骨が吸収するからです。抜歯の処置はまず可能ならばインプラントを考えますので、現在では抜歯時に将来インプラントが埋入しやすいような抜歯法を行なうようになりました。つまり、インプラントを埋入する際、骨がたくさんあったほうがインプラントはやりやすいのです。今日のオペ、1症例目は、下顎の奥歯を1本抜歯し、その後直ちにインプラントを埋入しました。それは、抜歯した所に充分な骨が存在したからです。2症例目もやはり抜歯しました。上顎の奥歯でしたが、抜歯後不潔な組織を充分に掻爬しますと、上顎洞（上顎の骨の空洞）とつながっていました。この場合、インプラントの埋入はすぐにはできません。骨を移植して骨が出来るのを待つことにしました。
　このように、インプラントの手術は実際に行なってみないとわかりません。手術中に適切な診断をしなければ良い結果はきたいできません。常に客観的に自分の処置を観察するぐらいの落ち着きが必要です。今日の手術の際しましては、的確な判断ができたと思います。骨を移植する処置はけっして簡単ではありませんが、細かい丁寧なオペができました。人間がすることですから、完璧な処置などはあり得ない。しかし、人間のからだとは上手く出来ていて、少しの細菌が存在していたとしても、わずかであれば治癒していくのです。技術の完璧さはめざさなければならないが、もっと大事なのはその思いなのだろうか。手伝ってくれた歯科衛生士や歯科医師の諸君、お疲れ様、そして私を信頼してくれて手術をさせて頂いた患者様ありがとう。