わからないから面白い

 毎日新聞でコラム執筆中の元村有希子のコラムが好評で、本として出版された、<理系思考>という本である。その中で彼女が色々な科学者との対談において、多くの科学者から発せられる言葉が<わからないから面白い>という言葉だという。考えてみれば、わからないことをあれこれ考えている時って結構楽しい。何か良くわからないことがあると、書物や今はインターネットなどで調べることができる。現在までに先駆者が経験したことなどは、そのような方法で知識として知ることができる。しかし、いままで誰も知らないことは、書物などには書かれていない。その道の専門家に聞くとその時点での最新の知見を知ることができる。
 私が取り組んでいる歯科治療に関しても、過去において先輩たちが研究してきたことは知識として知ることができるが、現在世界の最先端で研究が進んでいることについては、なかなか情報が入らない。インプラントの治療法についても、世界の中に先進的な治療法を突き詰めていいる先生たちがいるわけで、その現場では新しいアイデアが試されているのである。今、私が興味のある治療法は、一時間で最終補綴物まで入ってしまうという<One hour teeth>である。この方法を実現するためには、どのような道具を使ばよいのか、また、どのようなことに注意しなければならないのか、そのようなことを考えることは非常に楽しい。この方法を習得するためであれば、地球の裏側であれどこへでも勉強に行きたいと思う。また、このようなことにお金と時間をかけても無駄だとは思わないし、時間を忘れて熱中できる。今、自分の診療室で行っている治療内容が、世界の最先端であると思えることはまた愉快なことである。
 下の写真は私の誕生日(11月16日)に職員からもらった花である。