へそ曲がり

 私のことをよく知っている人は、私のことをへそ曲がりだといいます。他の人と同じということが非常に嫌いです。人が右と言えば、自分は左に行ってしまうのです。他の人が気が付かないことを人より早く気ずくことに非常な喜びを感じたりします。流行も他の人より先に取り入れたいし、多くの他の人が注目してしまうともう興味が半減します。これは遺伝的なことかもしれません、私の父親は刑事をしていました。若い時に難事件を多く解決し、警視総監の表彰なども何度も受けているのですが、どうも、他の捜査員が大挙して捜査している時に逆の発想で捜査を進めていたふしがあります。具体的な内容はもちろん聞いたこともありませんが、生前、父がそれらしいことを話していました。遺伝子とはよくできていて、私の息子もどうもそうのよな行動をしているようです。
 小学校の頃の父兄参観日の時の話を母から聞いたことがあります。担任の先生が、答えが解る人は手を挙げるように言った時に、私一人が手を挙げてなかったそうです。母は自分の子供だけが解らないのかと恥ずかしい思いをしたそうですが、私はというと、そんな簡単なことは他の人が答えられるから自分が手を挙げなくてもいいだろう、と思っていたそうです。なんと、小生意気な小僧でしょうか、先生からしてみたら憎たらしいガキだったのす。現在ではもちろんそのような地は出さずに無難に行動する術を学んでいますが、時として地が出てしまいます。
 現在、歯科医師として自分の思いどおりの診療をさせていただいていますが、考えてみますと、一般的な歯科医療の常識とは違う治療法を実施してきました。20年前、まだ自分が歯科医師としては駆け出しの頃から、<今の治療法はおかしい、何か間違っている。>とうそぶきながら生意気なことと言いながら診療をしていました。ところが、現在、時代が変化し、自分が今まで行ってきた治療法がまんざら間違ってなかったことが少しずつ明らかになってまいりました。自分の人生ですから、周囲の状況に惑わされずに、自分の信念に基づいて自分の感性を信じて生きていきたいものですね。