今日のオペno12

 昨日は抜歯と同時に3本のインプラントを埋入し、上顎の骨のないところに骨を作る手術をしました。専門用語で、サイナスリフトと言います。このことば、15年程前にスウェーデンのクリスターソン先生から具体的な術式を習い始めた時は、ほんの一部の専門家しか知らなかった言葉である。ところが、最近では、歯科大学の学生でも知っているほどのポピュラーな言葉になりました。
 私の医院でも、この方法で骨を作った症例が100を超えました。人間というのは、ある程度数を経験すると、もう何でも出来るような気になり、心に油断が生じます。昨日の患者様も、体格も良く、骨もしっかりしていましたが、粘膜の厚みが薄く非常に破れやすい状況になっていました。このような例外的に困難な症例に対し、普通に作業をしていたのでは、失敗します。例外的なことがある事を認識した時点で、一歩下がって慎重に作業をする心のゆとりがあるかどうかが手術が成功するかしないかの分かれ目になります。おかげで、昨日の手術でも、慌てる事もなく冷静な判断と、丁寧な処置が出来たと思います。麻酔のサポートをしていただきました九州歯科大学の河原助教授、アシスタントのMさん、Iさん、お疲れ様でした。思い通りに動く手と柔軟な頭を与えて下さいました両親と神様、そしてこのような仕事を与えて下さいました患者様に感謝します。