医療の原点

 近年、医療の分野に経営の概念が取り入れられ、現場では様々な改革が行われている。歯科医療でも同じで、患者をお客様としてとらえることが一般かされてきた。その結果、利益を利益を優先しすぎて、保険外治療の価格の下げ競争までも起きている。価格を他との競争で低く設定しすぎて、本来の満たされるべき治療のレベルを下げざるを得なくなり、治療結果が悪くなるという結果を導くことになる。
 本来の医療とは、そのような経営とは無関係に行われるべきことである。医療のあるべき姿は、その人に状況により治療の方法が異なるはずである。金額の差はオプションでいくらかの差が出る程度であるべきだ。それでは、保険外の治療費とは、一体どのようにして計算されるべきであろうか。その治療に必要な材料は単純に計算できる。医師の診断料や実際の手間をお金に換算して価格を算定するべきである。
 つまり、価格は治療内容により決定されるべきであり、他との競争で決めるものではない。歯科医院が経営にばかり走って、医療の本質を見失ってはいけない。医師としての責任と経営的な発想とどちらに重きを置くのかで医院での取り組み方が異なってくると思う。経営のことなど全く考えずに、ただ、患者様の治療に専念したいものだ。